肺がん

「がん」とは?

「がん」とは、体内の正常な細胞が異変を起こすことによって発生した異常な細胞(がん細胞)の集団のことです。
体内のすべての器官はいろいろな細胞から出来ています。通常、細胞は必要な時にだけ分裂・増殖して体の健康を維持しています。
ただ、細胞がコントロールを失い、必要が無いのに分裂・増殖すると、大量の組織が出来ます。
この組織によって作られたしこりは「腫瘍」と呼ばれます。
この「腫瘍」には「良性」のものと「悪性」のものがあり、「良性」のものはがんではありません。
他の部位への転移や再発は無く、生命に影響はありません。
「悪性」の腫瘍が「がん」です。がん細胞は、他の正常な器官に転移して増殖を繰り返して、その器官の機能を奪ってしまいます。

肺がんについて

肺がんは、日本人のがん死亡者のもっとも多い原因であり、1998年以降今日まで全がん死の第1位が「肺がん」です。
割合も全がん死の約20%が肺がんです。
また、肺がんには「原発性肺がん」と「転移性肺がん」があります。
「原発性肺がん」は肺から発生したがんのことで、「転移性肺がん」は乳がんや大腸がんなど他の臓器に発生したがんが肺に転移したもののことです。
通常「肺がん」とは、原発性肺がんを指します。
がんの進行の仕方や治療に対する感受性は、もともと発生した臓器の特徴を持つため、原発性肺がんと転位性肺がんでは、検査の種類や治療自体が異なります。

肺がん患者の増加について

肺がんの原因として、現在のところはっきりとしているのが「喫煙」です。タバコを吸う人ほど肺がんにかかりやすく、一般に重喫煙者(1日の本数×喫煙年数=喫煙指数が600以上の人)は肺がんの危険性が非常に高いです。
喫煙者の肺がん死亡の危険度は非喫煙者の4~5倍と言われていますし、喫煙量が1日20本以上の場合10倍以上、喫煙開始年齢が早いとさらに増加することが明らかになっています。

肺がんの種類

肺がんの種類

肺がんは、「小細胞がん」と、「非小細胞がん」に大別されます。
小細胞がんは、増殖が極めて速く、他の臓器に転移しやすいがんです。
肺がんの中でも極めて悪性が高いですが、抗がん剤や放射線治療がよく効くのが特徴です。
非小細胞肺がんは「腺がん」 「扁平上皮がん」 「大細胞がん」 「腺扁平上皮がん」などに分類されます。

腺がん
肺野部(気管支の末梢部分が広がる領域)に出来ることが多い。性質は様々で進行の速いものも遅いものもある。
扁平上皮がん
肺門部(気管支が肺に入ったあたり)に出来ることが多く、喫煙者に多く見られる。男性に多く、比較的転移しにくい。
大細胞がん
あまり特徴のない大型の細胞からなる。非小細胞肺がんの中では増殖が早く転移もしやすい。
腺扁平上皮がん
腺がんと扁平上皮がんが混じりあったもので、比較的悪性度が高い。

肺がんの検査について

肺がんは早期発見が非常に重要になります。以下のような症状がある場合は早めに呼吸器外科に受診し、検査を受けるようにして下さい。

症状

肺がんでは、せき、痰(たん)、血痰(けったん)、胸痛、呼吸困難等の症状がみられることがあります。
しかし、これらの症状は、「気管支拡張症」「気管支炎」などにもみられますので、肺がんとは限りません。
気になる症状がある場合は、早めに検査を受けましょう。

検査の種類

検査にはさまざまな種類がありますが、その内容によって検査の目的が異なります。
検査目的を主治医にきちんと説明してもらい、正しく理解したうえで検査を進めていくようにしましょう。

肺がんの「存在」を調べる検査 ・胸部X線・胸部CT・喀痰細胞診 ・気管支鏡 など
肺がんの「種類(組織型)」を調べる調査 ・細胞診(喀痰、胸水、気管支鏡)
・病理組織診(気管支鏡、経皮肺生検)
肺がんの「広がり」を調べる検査 ・胸部X線 ・胸部CT ・気管支鏡 ・PET/CT  ・腹部CT ・脳CT ・MRI ・骨シンチグラフィー
その他補助的な検査 ・腫瘍マーカー(血液検査)
胸部X線
胸全体を影絵にした写真です。がんなどの異常がある場合、白い影となってあらわれます。
胸部CT
体を輪切りにした状態の断面写真で、がんなどの異常がどこにあるかを見つけます。
喀痰細胞診
剥がれ落ちて痰に混じった細胞の中からがんを見つけます。朝採取した痰から検査を行ないます。
気管支鏡
カメラ付きの細い内視鏡(ファイバースコープ)を口もしくは鼻から挿入して気管支の中を観察し、がんが確認出来た場合には、その一部を検査のために取ります。 また胸部X線で異常が確認出来る場合には、X線透視下でその場所から検査組織を取ってきます。
経皮肺生検
胸部X線やCT検査で肺の中にがんが確認出来た場合、X線で見ながら胸(皮膚・筋肉・胸膜)に局所麻酔をして、太さが1mm程度の針を刺して、がんの一部を取って検査を行ないます。
腫瘍マーカー
早期がんを発見する手段としてではなく、治療後の経過観察に有用です。
血液中にある肺がんに関連があるかもしれない成分の数値を確認します。
腫瘍マーカーは、あくまで補助としての診断であり、数値の高低でがんを確定するものではありません。

肺がんの治療について

肺がんの治療には、大きく分けて「手術」「放射線治療」「抗がん剤治療(化学療法および分子標的治療)」があります。

外科療法
がんのある部分だけを取る「縮小手術」、がん細胞が隣の臓器にも食い込んでいる場合に、隣の臓器の一部も一緒に切り取る「拡大手術」、肺の機能を温存するために行う「気管支形成術」などがあり、従来の行われている「開胸手術」と、小さい創で胸の中を内視鏡で見ながら切り取る「胸腔鏡手術」に分類されます。
放射線治療
X線や他の高いエネルギーの放射線を使ってがん細胞を殺します。通常、体外から肺やリンパ節に放射線を照射します。
一般的には1日1回週5回照射し、5~6週間治療期間が必要です。
最近では、1日2回週10回照射する多分割照射も試みられています。
症状によっては、副作用も軽減出来、十分な量の放射線照射の出来る3次元照射が出来る場合もあります。
抗がん剤治療
上記「外科療法」「放射線療法」が局所治療であるのに対して、抗がん剤による化学療法は全身治療です。
抗がん剤は、通常2種類以上を使用します。治療期間は通常3~4週を1コースとして複数回繰り返します。
毎週抗がん剤を投与する治療も行われています。

治療方法は、「病期」「部位」「組織型」「既往歴」「年齢」「合併症」など、さまざまな要素をもとに慎重に選択します。
複数の選択肢を組み合わせることもありますので、主治医とよく相談しましょう。